嘔吐・下痢の重症で,かかりつけとは別の依頼者病院に受診し,手術後に患畜の犬が死亡しました。
訴訟前の段階では,「診断ミスおよび無謀な手術の実行をした」とのクレームがなされ,
訴訟の段階では,
①承諾無しに手術を行った
②また,治療内容に注意義務違反・説明義務違反があった(バリウム検査・試験開腹・麻酔・気管チューブ挿管などすべての行為が過失である)と,主張され,200万の損害賠償請求をされました。
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相手方は弁護士に依頼をして訴訟提起。訴訟の前には証拠保全手続きがあり、医院に裁判官がきて、カルテなどを保全されました。
訴訟において、当方は相手方主張の過失はなかったと主張し,その際,医学的資料や専門家の意見書も提出しました。
訴訟では,医師側の主張が全面的に認められ、医師に過失はないとの判決が下り,第一審勝訴。
相手方は控訴しましたが裁判官の説得をうけて間もなく取下げ,獣医師の勝訴判決が確定しました。飼い主の承諾無しに手術を行ったという主張は獣医療過誤の事案においてよく見られますが,通常裁判では、獣医師に飼い主に無断で手術をする動機は通常無いと判断される事が多いです。手術の同意書がある場合には、そのような主張をされることは少ないのですが同意書がない場合には、この点について医師も承諾を得たことについて主張・立証することを迫られます。 |