会員専用 危険な飼主の特徴

日々の診療をする上で、気を付けたほうがよい飼主の特徴を幾つか挙げました。
このページをご覧頂いている先生方にも思い当る節があるかとは思いますが、改めてご注意ください。
 

飼主のこのような発言に気を付けましょう

パターン1
危険な飼主の特徴

「先生、絶対に治りますか?」

危険な飼主の特徴
「絶対に」というのは、リスクを受け入れず、責任を転嫁する人の特徴的な発言です。
100%の結果を出さない限り不満を持つので、クレームに繋がりやすいタイプの飼主です。
このようなタイプは、他者への依存性が強く、女性に多いのですが、最近は男性にも増えてきています。
診療中にも、危険のシグナルが出ているので、おかしいと感じたら、リスク説明に関して、同意書を取る、カルテにやりとりを詳細に記入する、録音をとる等して、記録を残すようにしましょう。
 
 
パターン2
危険な飼主の特徴

「先生だけが、頼みの綱です。信じています」

危険な飼主の特徴
一見飼主が獣医師を頼って信じてくれているように感じますが、真実、獣医師を信じてリスクを受け入れてくれるわけではありません。この言葉を発する飼主の真意は「信じているので絶対に直してほしい」ということです。
リスクを受け入れることなく獣医師に任せれば、ペットに関してもう悩まなくていい・楽になれるという考えの方です。
しかし、このような飼主は、ひとたびペットに何かが起きると、「信じていたのに裏切られた」と述べます。
人間関係において、結婚やお金の貸し借り等の場面で、「信じていたのに裏切られた」と怒る人と同じですね。
結局、このタイプの方はペットに対する責任感が無い人ですので注意しましょう。
 
 
パターン3
危険な飼主の特徴

「インターネットでは、こういう治療が良いと書いてありましたが…」

危険な飼主の特徴
インターネットの普及によって、皆が皆ちょっとした玄人になり、このような発言をする飼主が増えてきています。
ペットの症状が不安になりインターネットで検索すること自体は、現代では普通のことですが、この飼主の問題点は、専門家である獣医師よりも、不確実なインターネットの知識を信じていることです。
また、インターネット上の自分にとって都合のよい情報だけを信じていることも多いので、「獣医師の見立てが、インターネットにあった情報と違ったので誤診である」とクレームをつけることがあり、注意が必要です。
なお、このタイプの方は、納得がいかない対応をされたときに、インターネットに悪評を書き込む危険性が高いので、慎重に対応しましょう。
 
 
パターン4
危険な飼主の特徴

「全部先生にお任せします」

危険な飼主の特徴
この発言のポイントは、「お任せする」と言うときは、治療行為のすべてを獣医師に委ねているわけではない点です。
このような飼主は、ペットの治療に関して責任ある判断はしたくないという一方、結果については保証をしてほしいという考えの方が多く見受けられます。
この場合は、飼主と獣医師とは、ペットにとってどのような治療法が良いか一緒に考えるパートナーであるということを説明し、良好な関係を構築することが大切です。
発言を鵜呑みにして、治療内容を一任されたと思って治療をすると、後から「同意していない」とクレームを言われることもあるので、治療に際して、同意をこまめに取るようにしましょう。
このタイプの飼主に治療方針のリスクを伝えても、受け入れてもらえない場合には、ある程度説得を試みて理解を得られないようであれば、無理に説得をするのではなく、「治療方針を決めるのは最終的に飼主の方です」と伝え、治療方針が一致しないという理由で転院を勧めましょう。
 
 
パターン5
危険な飼主の特徴

「治るのであればやりますが、治らないならやりたくありません」

危険な飼主の特徴
この発言の背景には、飼主の経済的不安や、金銭負担に関する懸念があることが多いです。
この場合、「おそらく治るのでやりましょう」と安易に告げるのではなく、「治療に100%ということは無いので、治らない可能性があること」を伝えることが必要です。
「医療とは、治るという結果ではなく、治る可能性のある医療行為について対価を受けて行う行為」であることをしっかりと説明し、それでも飼主が決断つかないようであったら、治療行為のリスクをきちんと説明した上で、「決心がついたら来てください。ただ、ペットの症状から見て、考える時間はそこまでありません」と伝え、伝えたことをカルテにきちんと書きましょう。
 
 
パターン6
危険な飼主の特徴

「その検査をしたら、病名が分かるんですか?」

危険な飼主の特徴
この発言も、飼主が費用を気にしている背景がある事例です。
検査の結果、確定診断が出来なかった場合に、検査費用が無駄になったとクレームを述べ、検査費用の返金を要求するタイプの飼主です。
さらには、その後に、別の病院にも行き、そこで何かしらの診断をつけてもらったために、「前の病院での検査は結果が明らかにならなかったので無駄だった」と主張されることがあります。
このような場合は、「確定診断とは、数ある病気の中から可能性の高いものから消去していくことである」という診断方法の根本から、分かりやすいように説明します。または、「自分には診断がつかないので」と説明し、他の病院を紹介するという伝え方もあります。
 
 
パターン7
危険な飼主の特徴

「こんなことは、うちの○○ちゃんにはかわいそう」

危険な飼主の特徴
飼主の主観で物事を判断し、ペットにとって客観的に何が良いかということよりも自分の気持ちを優先させるタイプです。
このタイプの飼主は、獣医師が説得しても、「私にはペットの気持ちがわかる」と主張して、より良い治療を拒否することがあります。
このタイプの方には、「あなたの主観は間違っていますよ」と説得しても通じませんので、「○○ちゃんにとって病気が治らないほうが可哀想だと思いませんか?」と問いかけて、最終的な決断は飼主自身にしてもらいましょう。
また、「ペットにとっては可哀想だけれども、飼主として病気を治してあげるために一緒に頑張りましょう」と伝え、獣医師と飼主との対立関係を回避するためにも、病気を共通の敵にし、可哀想という気持ちを飼主が乗り越えることが治療には必要であるというアプローチをとりましょう。
 
 
パターン8
危険な飼主の特徴

「もう、何軒も断られています」

危険な飼主の特徴
この発言をするタイプは、治療困難で断られたのではなく、自分の納得する結果を言ってくれる獣医師が居ない場合に、納得することを言う獣医師を探すためにドクターショッピングしている方です。
断られているのではなく、飼主の望む答えが返ってきてないだけなのです。
この飼主の望む答えとは「0%のリスクで、100%の結果」です。
この飼主に迎合して、都合の良い方向で話をすると、最終的に「先生を信じていたのに裏切られた」というクレームに繋がりますので、最初から治療のリスクを厳しめに説明することで、飼主が納得いかないと感じた場合には、自ら他の病院を訪ねることになります。
 
 
パターン9
危険な飼主の特徴

「お金はいくらでも払うから、必ず治してください」

危険な飼主の特徴
この発言をされる方は、富裕層に多く、今まで、お金を払うことで自分の思い通りに何でも物事を進めることが出来た方です。
お金払いが良いので、一見歓迎すべき顧客に思えますが、お金さえ払えば何でも治療できるという考えを持っているので、リスクを受け入れないという点では、他のクレーマーと同様です
お金に余裕がある分、費用対効果を度外視して、弁護士を雇い訴訟をする等して大きな紛争に発展しがちです。
このような方は、「お金を払った上で全部任せる」という考えではなく、むしろ「お金を払うので完璧に治してほしい」という考えですので、むしろ通常以上に一つ一つの治療の費用・見立てについて丁寧に説明してください。
 

特徴から見分ける危険な飼主

1 独身女性
独身であれば、危険な飼主に該当する年齢層は幅広いです。物を言わないペットを恋人や夫、子どもの代わりかそれ以上に大切に考えているため、ペットへの執着心が強く、治療に少しでも不手際があると、烈火のごとく怒りを露わにすることがあります。
 
2 士業の女性
このような方は、お金の余裕がありペットを飼っている比率が高いのですが、忙しいため、ペットの調子が悪くてもすぐに病院に見せられないことが多いです。納得のいかない結果が生じたときに、自分の飼い方がずさんであったことを認めたくないがために、獣医師に責任を転嫁しがちです。
また、職業柄、クレームを述べることや法的手続きをとることに関して抵抗感が少ない上に、権利意識が強いので、大きな紛争に発展することがあります。
 
3 やせ型で色白の女性
このような方は、細かいことを気にする性格であることが多く、ペットに対してわずかな傷等にも神経質になる人も多いです。また、ちょっとしたことで不安になり頻繁に医院に電話を掛け、「先生、不安なんです」「うちの子は大丈夫でしょうか」と繰り返すために、診療に支障を来すこともあります。母親が診察に付き添いに来た場合等は、依存性がさらに高い飼主ですので、特に注意が必要になります。
 
4 多頭飼い
そもそも、個々のペットの飼育状況を把握出来ていないため、獣医師の問診に的確に答えられず、ミスが生じやすい類型です。その上、多頭飼いのため日常のケアがおろそかになっていることに対して、自分で責任を負いたくないが故に獣医師に転嫁する方が多いので、注意が必要です。
また、多頭飼いによる感染症や咬傷のリスクを説明したことをカルテに記録しておきましょう
 
5 ご商売をしている夫婦
士業の女性と同様、訴訟等の紛争になることが多いです。
職業柄、自分で交渉しようとする方が多く、クレームを述べることに対する精神的障壁が低いです。また、交渉するための弁護士費用と時間に余裕がありますので法的紛争になりがちです
 
6 芸能人の方
前述した、「お金はいくらでも払うから、必ず直してください」と発言する人と類似していますのでご参照ください。また、反社会的勢力等の名を出し、金銭を要求することもあります。
芸能人の方は、特殊な社会に身を置いているので、獣医師側がこれで伝わるだろうと思っていても、理解出来ず違う意味にとられることが多いので、丁寧に説明する必要があります。芸能人であるからクレームは述べないだろうと考えがちですが、むしろ芸能人の飼主がクレームをつけた事例は複数あります。
芸能人であるからといって特別扱いせず、しっかり同意書に記入してもらいましょう。

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