医療ミスがあった場合にどういった初期対応をするかどうかで、その後の患者との関係が大きく変わります。
明らかなミスがあった場合には、速やかに結果に対して謝罪をする必要があります。結果に対してと記載したのは、ミスがあった機序・原因については、必ずしも医師側に問題がない場合もあり、医学的に問題がないものについても謝罪をすることは、後の訴訟や交渉において不当に不利益になるからです。
一方、医師自身も医学的に問題ないことについて患者からミスだとクレームがある場合があります。経験上、多くの医師が「とにかく謝罪してその場を収める」、「クレームに対して怒る」という対応を取りがちです。 しかし、そのいずれの対応も、問題があります。
まず、謝罪をすることは、患者に「やはりミスだった」と勘違いさせ、その後信頼関係をもって治療を続けることができなくなります。 特にミスと認め、謝罪した後は、治療費を無料で診療を続けるよう要求されることが多いので謝罪をすることは慎重にする必要があります。
次に、理由なきクレームに対して、医師がミスではないと、反論するケースも散見されますが、これも患者の不安を増大させ、トラブルとなりやすいです。
では、具体的にどういった対応をとるべきなのでしょうか。 善良な患者をクレーマー化させない初期対応について検討しましょう。 クレーム処理の基本原則は、受容、共感、要約、対決のプロセスをたどります。
受容のプロセス
(医師又はスタッフ)→まず、患者の言いたいこと、要はクレームの内容を聞き取ります。
共感のプロセス
(医師又はスタッフ)→患者の言いたいことについて理解を示します。ここで見解を述べたり、謝罪をする必要はなく、相槌をうつと考えてください。
要約のプロセス
(医師)→今まで聞き取った患者の言いたいことを要約します。
対決のプロセス
(医師又は弁護士)→要約した患者のクレームに対して、医師としての説明をする。対決姿勢はとらないことがポイント。具体的な反論があってもうまく伝わらない可能性があるので、追って回答すると述べることで対応することも可能です。
診療中にクレームがあった場合に、初期対応は、患者と接している医師がする以外にありません。その際は、1で述べたような受容、共感、要約、対決のプロセスを経て、患者の気持ちに配慮をする必要があります。
このプロセスを経て、患者が納得した場合には、一応の処理は終了します。
その後は、記憶の定かなうちに、カルテにやりとりを記入し、スタッフに申し合わせをし、この患者に対する対応に注意を喚起するようにします。
患者が納得をしないまま帰った場合には、再度説明をする必要があるので、すみやかに弁護士に相談をしましょう。
決して、自己判断で弁明書や経緯書を作成したり、直接電話をかけて、問題がなかったと反論することはやめましょう。
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