―多くの中小企業においても発生しますが、特に動物病院に多い労使間トラブル―
動物病院の運営は、一般企業とは大きく異なる部分が多くあります。
特に「昼休みの取り方」は、動物病院ならではの特徴といえるでしょう。
午前診療と午後診療の間に、
3時間〜5時間程度の長い休憩時間を設けている病院も少なくありません。
この時間の扱いをめぐるトラブルについて近年ご相談が増えています。
多くの動物病院では、
• 昼休み中も院内にいる
• 電話が鳴れば対応する
• 急患が来れば診察する
といった運用がなされていることがあります。
患者さんの安心のため、
スタッフの責任感から自然にそうなっているケースも多いでしょう。
しかし法律上は、
休憩時間は「労働から完全に解放されていること」が必要とされています。
もし、
• いつでも対応できる状態で待機している
• 実質的に自由に外出できない
といった状況であれば、その時間は
「手待ち時間」として労働時間と評価される可能性があります。
これは、実際に対応した時間だけでなく、
待機していた時間全体が対象となる可能性がある点に注意が必要です。
万が一、長時間の昼休みが労働時間と判断された場合、
• 未払い残業代の請求
• 過去分の遡及支払い
• 労働基準監督署からの指導
につながることもあります。
多くの動物病院は中小規模で運営されていますので、
予期せぬ人件費の増加は経営に大きな影響を及ぼしかねません。
4時間の休憩時間全てが「手待ち時間=労働時間」とされてしまうと
1.5倍の給与を支払うことになってしまう危険性があります。
そういったことを事前に防ぐにはどうしたら良いのか?
対策を分かりやすく解説します。
休憩時間中は、
• 院外に出ることを認める
• 電話対応をさせない
• 急患対応を原則行わせない
といったルールを明確にしておくことが重要です。
そして何より大切なのは、
動物病院の経営者側としては休憩時間においては動物病院の中にいさせないとか、いさせる場合でも電話を取らないように指導している形を残しておくこと。
就業規則やマニュアルに明記し、
スタッフにも丁寧に共有しておきましょう。
このような形を残したうえで、あくまでも任意で連絡してもらった場合には、「ありがとう」と言いながらその分の費用だけちょっと上乗せするという対策も考えられます。
動物病院の実情を踏まえると、
現実的な解決策として「輪番制」があります。
労使協定を締結すれば、休憩時間を交代制にすることが可能です。
例えば、
• 休憩を取るスタッフ
• 電話・急患対応を担当するスタッフ
を分けることで、
• 本当に休める時間を確保できる
• 労務リスクを減らせる
• スタッフの満足度向上にもつながる
といったメリットがあります。
動物病院の事情を理解しているスタッフであれば、
十分に話し合いの余地があるケースがほとんどです。
なお、同居の家族のみで運営している場合は、
労働基準法の適用外となるため、この問題は原則生じません。
ただし、1人でも従業員を雇用している場合には、
別途検討が必要になります。
動物病院の労務管理は、
「スタッフを守ること」と「病院経営を守ること」の両立が大切です。
どちらか一方ではなく、
安心して長く働ける環境づくりが、結果として経営の安定につながります。
当事務所では、動物病院特有の事情を踏まえたうえで、
• 就業規則の整備
• 労使協定の作成
• 昼休みの運用見直し
• トラブルの予防的アドバイス
などを行っております。
「今のやり方で大丈夫だろうか」と少しでも感じられた先生は、
お気軽にご相談ください。
先生方が安心して診療に専念できる環境づくりを、
法務面からサポートいたします。
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